記事番号: 1-1061
公開日 2018年04月12日
更新日 2018年04月21日
甲州市塩山牛奥にある「岩堂セギ分水口(いわどうせぎぶんすいこう)」(甲州市所有、花園区管理)に看板を設置しました。昭和2年に作られた鉄筋コンクリート造の円筒分水口で、地域の水利に関する代表的な遺構のひとつであるとして、平成29年5月2日付けで登録有形文化財へ登録されました。
岩堂セギ分水口は、JR中央線の高架付近で鬢櫛川の水を引き、北から西へ展開する扇状地の「扇の要」の位置にあたる岩堂に設置されたコンクリート製の分水口で三等分に分水されています。構造は、大中小のコンクリート製円筒を使った三層構造で、サイフォンの原理で中心の小円筒から湧き上がった水が、中円筒に均等に開けられた穴で三等分され、外側の大円筒を通じて、三本の水路に注がれます。水を均等に配水していることを明確にするための仕組みとなっています。また、設計が県庁の技師に依頼されたこと、当時まだ貴重だったコンクリートが使用されたことも特徴のひとつです。
■登録有形文化財制度とは…
緩やかな規制のなかで、街並みを構成する建造物等を活用しながら保存できる点に特徴があります。
今までどおりに使うのもよし、事業資産や観光資源にすることもできます。外観が大きく変わる場合や移築の場合などに現状変更の届出が必要となりますが、登録することで規制に強く縛られることはありません。例えば内部を一部改装し、ホールやレストラン、資料館などとして活用することもできます。建造物では、築50年を経過していることが登録の目安となります。住まいながら末永く残していきたい、そんなご希望があれば文化財課へご相談ください。
設置した看板(緑のプレートは登録文化財に登録されると文化庁から交付される
全景 小円筒から湧きあがった水が
中円筒に注ぎ、大円筒へ3等分
に分かれて注ぐ