記事番号: 1-2562
公開日 2015年01月19日
1月11日、大和町田野地区の小正月行事として受け継がれてきた県指定無形民俗文化財の「田野十二神楽」が開かれ、今回ご縁があり12の舞のうち「姫の舞」を躍らせていただくことになりました。
田野地区に継承される「十二神楽」は、明暦2年(1656)頃、当時流行していた伊勢参りができない人のために、伊勢の国から移したものといわれ、伝説では、天照大神が岩戸に隠れたとき祈祷に舞った神楽ともいわれています。
神楽への熱い想い/だからこそ郷土文化は継承されている。
「あきらかに練習時間が足りない・・・」。
変な汗が出てきましたが、口を動かしてもどうにもなりません。とにかく本番までやらなきゃいけないことをやるだけです。
毎夜、午後7時から田野公民館に集まり、それぞれの舞ごとに練習。練習後は小さな打ち上げを30分ほど行い、時に地域に伝わる神楽への想いを聞きながら、田野の皆さんと交流させていただきました。
昔は地区の若者たちが中心となって行っていた神楽ですが、若者の移転などで演者の高齢化が進んでいます。また、後継者不足により、次世代の担い手を見つけるのに苦労しています。
今回の演者の中にも田野と所縁(ゆかり)はあるものの、現在は勝沼や山梨市に住んでいる方々が戻ってきて、それぞれの舞を担当されていました。
だからといって、別の地区の方に参加をお願いするのも難しい状況なのだそうです。
そうした中であくまで「新住民」ともいえる自分にお声がかかった次第でした。
練習は、1月5日から9日の期間で行い、それぞれの舞を練習するため、実際に踊れるのは20から30分程です。
「これではとてもじゃないが本番まで間に合わない!」と感じ、自宅の部屋で、過去の神楽の模様を見ながら練習に励みました。
そして本番当日。
まずは、昔からの仕来りで、お風呂に入り身を清めました。そして、どんど焼きが行われる景徳院駐車場に移動し、お神酒を頂きつつ獅子の舞が始まりました。
私が出演する「姫の舞」は2番手なので、一足先に田野公民館へ向かいました。
披露の時間が近づき、いよいよ姫装束に着替えです。
心臓はバクバク。一緒に姫の舞を舞う方の冗談で一瞬気は紛れるものの、すぐに心臓は鼓動を早め、緊張感いっぱいのまま出番を迎えました。
太鼓や笛の音色、皆さんとの間合い・・。あっという間の出来事でした。
うまく踊れていたのでしょうか? 皆さん「お疲れさん!」「上手に踊れていたよ!」と声を掛けてくれました。
練習に参加してきた身からすれば、悔しさの残る舞となってしまいましたが、その一方で、地域文化の重みを感じることができた貴重なひと時であったことは確かであります。
でも、これでひと段落。
その後は、他の舞をゆっくり見ることが出来ました。
神楽終了後は、田野地区のお母さん達が用意していてくれたご飯をおかずに打ち上げです。
その席上、地元の皆さんの神楽に対する熱い想いを聞き、「ただ残すのではなく残すからには質の高いものを継承しなければ」と、神楽に携わる姿勢を問いただすことが出来ました。
最後に、宮本地区に住む自分に伝統芸能に触れる機会を与えてくれ、また暖かい目で見守ってくれた田野地区の皆さんには本当に感謝をしています。
もし、再び参加の機会を頂いた際は今年の経験を生かして神楽に取り組み、伝統文化継承の一助となれれば嬉しいです。
記事作成:石井修平(甲州市地域おこし協力隊)