本当に知ってる?山梨の県民食『ほうとう』の世界
食生活山梨県を代表する麺料理といえば郷土食『ほうとう』
もちろん、食べたことありますよ、
なんていう県外の方も多いのではないでしょうか?
でも、ちょっと待ってください!
皆さんがご覧になったのは、1人前のほうとうがグツグツと鉄鍋で煮込まれ運ばれてくる...といったスタイルのものではなかったのでは?
庶民的でなじみのあるほうとうを、わざわざ外に食べに行くことのない地元民からすると、その鉄鍋スタイルはなんとも不自然でならないのです。
では実際の、素朴な家庭料理として食べられているほうとうとはいったいどんなものなのか...。
皆さん、興味がわいてきませんか?
少量を作るのは難しい?ほうとうの基本は大鍋
家庭では大きな鍋で様々な野菜や肉と一緒に、ほうとう特有の幅広麺を煮込んでから味噌で仕上げ、一人ひとり、味噌汁椀やどんぶりによそうのが一般的です。
観光レストランなどで提供されるほうとうのように一人前の鉄鍋に入ったほうとうをフーフーしながら食べるということはありません。
現在の家庭では、ほうとうは味噌汁と同様の扱いで、ご飯や他のおかずと一緒に食べることも。
それでも定期的に食べたくなるほうとう。一般的な山梨県の家庭では、台所にある一番大きな鍋を使って作ります。水と小麦粉で作られた幅広の麺は煮込むことによって膨らみます。生麺のまま使用することによって、ほうとうの汁にとろみがつくのです。具材と麺とのバランスを水を入れ調整しながら作ると、それはもう、鍋たっぷりなほうとうの出来上がりです。
しかしながら家族分の適量・少量のほうとうを作るのは、実は結構難しいのです。そのため、翌日の朝食にも食べることもあります。熱々の炊きたてのごはんに冷たいほうとう、または冷たいごはんに、地元では「沸かし返し」と言われる温め直した熱々のほうとうをかけて食べます。
好みの差はあれど一晩寝かしたほうとうも結構おいしいものです。これが食べたくて、わざと大量に作る人もいます。2日目のカレーのような位置づけですね。
また、反対に、麺をあまり煮込み過ぎず固めで汁のとろみも少なく、さらっとしている方が好き、と言う方もいます。ほうとうの味も好みもたくさんあるのは、山梨県民ならではのこだわりと言えるでしょう。
伝統は残しつつ変幻自在に進化するほうとう
冬の食べ物としてのイメージが先行しているかと思いますが、山梨県では頻度は違えど1年を通して食べられています。
ほうとうには、大根・にんじん・じゃがいも・きのこ・白菜・里芋・かぼちゃ...など、季節の旬の野菜から、そのほか肉類も、使う材料はこれといった決まりはありません。油揚げが入ったり、その日の気分や冷蔵庫事情によってなんでも一緒に煮込みます。それが不思議とうまく合ってしまうのが、ほうとうなのです。
昔から「うまいもんだよ、かぼちゃのほうとう」という言葉が山梨にはあるように、ほうとうと言ったらやっぱりかぼちゃは欠かせません。古くは冬至の季節に使われていたようですが、今は春夏秋冬、どの季節でも手に入るかぼちゃなので、あるとないとではこんなにも違うのかと入れなかったことを後悔してしまうほどです。
夏場に好んで食べられるほうとうとしては、冷やしたほうとうの麺を具材の入った少し温かい汁につけて食べる「おざら」というメニューがあります。ほうとうとの大きな違いは、おざらは醤油ベースの味付けが定番であるということです。
これだけ具だくさんで栄養価も高く主食にもなるほうとうは、赤ちゃんから高齢の方までもが食べやすい、まさにオールマイティーな料理です。
また、山梨県内の一部の地域では、小正月のハレの日の食べ物としてお汁粉のように小豆を入れて煮込んだ小豆ぼうとうが食べられています。健康を願う食べ物として、現代に受け継がれています。
最近ではほうとうがさらに進化して、ほうとうの麺をパスタに見立て、幅広麺にソースがよく絡むカルボナーラ風もあります。また、ラーメンの麺をほうとうの麺に代えて作られた新しいメニュー「ラーほー」を提供している店舗もあるようです。
まとめ
山梨県内のスーパーでは家庭で作る方のため、各製麺会社から多くのほうとうの麺や、入れるだけで味が決まるスープの素などが店頭に並んでいます。
ぜひ、あなたのお好みのほうとうの味を見つけてみてください。