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センパイに学ぶ

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このインタビューは移住者ではなく、昔からこの地域に住んでいる廣瀬夫妻(玉宮地区)と中村夫妻(上条地区)の4人の「センパイ」に、甲州市での思い出や甲州市の魅力などについてお話いただきました。
(左から廣瀬かほるさん、廣瀬博さん、中村今朝継さん、中村昭美さん)

みなさんの子供の頃の甲州市に関する思い出はどんなものがありますか。

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私が住んでいる玉宮地区は昔養蚕が盛んな地域でしたが、私が成人する頃には、養蚕をやめて桃やぶどうを生産するようになり農家が増えました。ただ最近は専業農家というよりは会社勤めもする兼業農家が増えてきましたね。私自身は40 年ほど甲州市を離れていて、10 年程前に戻ってきました。甲州市は本当に自然豊かです。富士山も見え、四季折々に変化する景色を見せてくれる山々に囲まれています。

かほる何十年ぶりに戻ってきても変わってない。甲州市は素敵な自然に囲まれて、都心から90 分でこんな素敵な場所に来られますから、立地も素晴らしいですよね。小さな子供が甲州市に来ると、空気がすごく美味しいと言いますね。

今朝継私たちの住む上条地区も山に囲まれていて、よくここに来た子どもたちが「ヤッホー」と叫ぶんですが、それぐらい見晴らしが良いです。あと、建物について上条地区は昔と今であまり変わっていないですね。

中村夫妻の住む上条地区は養蚕をしていた伝統的な家屋が数多く残っています。2015 年には、重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されました。日本の伝統的家屋を取材しようと、海外メディアの方もたくさん上条地区に来ましたね。

この家(廣瀬夫妻の自宅)も、もともと養蚕に合わせたつくりをした古民家です。夏は風通しが良いですが、冬は寒さが厳しいです。ちなみになんでこんなにこの家の柱の木が黒いかわかりますか?これは養蚕をしていた証です。寒くなると部屋を暖かくしておかないとお蚕(かいこ)さんがまゆを作らない。だから、薪を燃やして暖かくするのですが、薪を燃やすので煙がたくさん出ます。それで木が燻されて黒くなるんです。こうして燻された木材は虫が寄り付かなくなるんですよ。そうやってお蚕さんと共存してきた訳です。

そうした養蚕農家など、昔の暮らしは裕福だったのですか?

裕福とは言えなかったけど。生活はできないわけじゃなかった。

昭美年に3,4回、お蚕さんを育てて、そのまゆから生糸をとっていました。冬場はお蚕さんを飼えないので、男の人は土方の仕事などをしていました。食べ物は自給自足が基本でした。

食べ物といえばお刺身も祭りの時とか年に1 回か2 回ぐらいしか食べられなかった。だから、昔と比べて今の裕福度はかなり高いと思うよ。

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ほかに子供の頃の甲州市での思い出話はありますか?

隣村に行くときは歩いて峠越えをすることが多かったです。今でこそ車で回り道をしますが、当時は峠越えの細い道をひたすら歩いて行きました。

今朝継毎日学校への往復に、2時間ぐらい歩いたけど、苦にはならなかったです。

私たちの時はそれが普通でした。

今朝継車はというと、私たちが小学生の頃、車を持っていたのはお店の人ぐらいでした。ガタゴト道で、おまけに車の性能は今と違って良くなく、ゆっくり走っていたから、お店の人が運転している車の後ろにこっそりしがみついて遊んで楽しかったな。

我々の頃と今とでは生活パターンが異なっていました。今は時間のスケジュールなどが分刻みですが、昔は時間刻みだった。例えば集合も大体1時くらいとかそんな生活で、本当にのんびりしていましたね。それからもう一つ、甲州市はすごいよ。山梨県にある国宝の5 つうち3 つがあるからね。

今朝継大善寺、菅田天神社と向獄寺にあるね。あとは雲峰寺に日本最古の日章旗もあるよ。それは破れて縫ってあるけれど。

甲州市は自然の環境もあるけど、歴史的環境もある。黒川金山など武田信玄の金鉱もあるし、水晶も取れる。ちなみに、玉宮の名前も水晶が取れることが由来といわれていて、ロマンがあるよ。
甲州市は歴史を紐解くといろいろあるんです。

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昔と比べ、今の若い人については、どう思いますか?

今の時代に生きている若い人には、自分の立ち位置を持って欲しいですね。あとは若い人は物に価値を見出しがちのように思います。自然や文化など、お金に換算するのではなく自分のうるおいに換算できることを大事にしたらいいと思います。

昭美インターネットが発達して外に出ない人が多い気がします。自分の足を通して色々なことを学んで欲しいですね。

今朝継農業する若者も意外といるなという印象です。そんなに多くはないですけどね。

かほるここは中山間地にあるところで、高齢化が進んでいます。農業をやりたい若い人と農業ができなくなった高齢者のマッチングができたら良いですね。都会の人にとってオアシスになってくれればいいですね。

昭美土を耕さずにいると畑などが荒れて、土が固くなるからぜひ農業してもらえると嬉しいですね。

あと、年齢が上の人と接点を持ってほしいね。世代を超えて、年配の人と若い人が交流しないと地域が活性化できないと私は思います。無尽などを使っていっぱい交流したいですね。無尽とは仲がいい人がグループを作り、お金を積み立てて、有事の際に、そのお金をやりくりするものでした。ただ最近だとそれぞれの近況報告を語る場として無尽があることが多いです。山梨県だと、大体どの地域でもやっていると思いますし、ぜひ、若い人にも無尽に参加して欲しいですね。

今朝継無尽には、お金を積み立てて旅行に行く『旅行無尽』だったり、積み立てたお金をもらう『とり無尽』や、困ったときにお金を工面する『お助け無尽』なんかもあります。

かほる山梨県は健康長寿日本一と言われていますけど、無尽で地域や仲間とコミュニケーションをとるからとも言われたりしていますね。

最後に県外からの移住希望者にメッセージをいただけますか。

都心から90 分でドンと日帰りで来られます。ここでぜひ一緒に生活を楽しみませんか。様々な果物や歴史を楽しむこともできるし、ワインもあります。みなさんが一歩踏み出すか出さないかだと思います。

昭美春になると桜や桃の花が一面に咲きますし、温泉も多くあります。甲州市民だと300 円で入れる格安の温泉もありますよ。

今朝継甲州市も探せばいろいろあります。例えば、甲州市の共撰所では、7月中頃になると出荷しない完熟桃を無料で食べられる体験もあります。土曜か日曜の午前にやっていることが多いですね。

昭美夏の果物の時期にはぜひ食べに来てもらって、観光がてら甲州市を知って、若い人にはぜひ甲州市に住んで欲しいですね。

いちど甲州市にぜひ来てみろし!!(甲州弁で『来てみてくださいよ』の意味)」

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